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週刊スモールトーク (第142話) 大洪水時代(1)~ノアの方舟~

カテゴリ : 歴史終末

2010.05.16

大洪水時代(1)~ノアの方舟~

■呑み込まれる町

のんびり、砂浜で寝ころんでいると、不意に波しぶきがかかった。あれ?こんなところまで波が来ている。あわてて、ホテルの中庭まで移動した。ところがすぐに、次の波が足下をぬらす。え、なに?海を見ると、ひときわ高い波が・・・津波?あわてて、ホテルの中に駆け込んだ。

ホテルの窓から海を見ると、波の高さが異様だ。海全体が盛り上がっている。恐怖に駆られ屋上まで一気に駆け上がる。波は間断なく押し寄せ、屋上の高さに迫っている。ウソだろ?このままじゃ、海に呑み込まれる。周囲を見渡すと、隣に高いビルがある。あのビルに移動しよう、となぜか思った。本能的にジャンプすると、身体が宙を浮き、隣のビルの屋上にソフトランディング。あ、これ夢?

飛び移ったビルの屋上から見下ろすと、先のホテルはすでに浪の下。しかも、水位はまだ上昇している。あたりを見渡すと、屋上の片隅に細長いトンネルがある。早く、気づいてくれといわんばかり・・・まるで、ゲームだ。トンネルに入ると老人が手まねきしている。
「早くしないと、間に合わないよ」

脇目も振らず、トンネルを走り抜けた。

トンネルを抜けると、そこは別世界だった。360度、地平線のかなたまで見渡せる。どうやら山の頂にいるらしい。ついさっきまで寝ころんでいた砂浜、ホテル、町、すべてが海に呑み込まれている。巨大な恐怖が意識を丸呑みにした。

いつの間にか、そばに老婆が立っている。老婆は笑みを浮かべながら言った。
「ここは、昔、『千の塔』とよばれていたのじゃ」
一つの塔の高さが1.3mとして千個で1300m。だから、標高1300m。なるほど、だから、「千の塔」なのだ、とスラスラ理解している。やはり、これは現実じゃない・・・

夢から覚めても、身動きできなかった。住む世界すべてが、海に呑み込まれる光景は衝撃的だ。しかも、夢は「眼」でなく「意識」で見る。空間の3軸、それぞれ360度の映像が同時に飛び込んでくるので、インパクトは現実の比ではない。3D映像を超える4D映像?とにかく、夢は思考空間すべてを埋め尽くすので、逃げ場がない。これが、予知夢でないことを心から願った。

■大洪水伝説

人間は死を怖れている。たとえ、1人の死であっても、本人にとっては世界の終わりだから。しかも、死は、貴賤を問わず、誰にも訪れる。選択の余地があるとすれば死に方ぐらい?当然、苦しみながら死ぬのはごめんだ、と誰もが思っている。では、最悪の死に方とは?たぶん、「溺死」と「生き埋め」。絶命するまでに数分はかかるし、その間は窒息状態。こんな死に方はしたくない。

「溺死」は津波、「生き埋め」は土砂崩れによる。だから、津波がイヤなら山へ、生き埋めがイヤなら海辺へ行けばいい。だが、どっちを選んでも、もう一つの窒息死が待っている。じゃあ、どこに住めばいい?

そんな迷いから開放してくれるのが、「大洪水伝説」だ。「旧約聖書」によれば、大洪水の後、ノアの方舟が流れ着いたのがアララト山。アララト山は標高5000m級の山なので、地球の大半が海の下。山だろうが海辺だろうが、関係ない。何の慰めにもならないが・・・

じつは、ノアの方舟のような「大洪水伝説」は世界中に存在する。たとえば、ヘブライ、シュメール、ギリシャ、インド、中国、インカ、マヤ・・・なんと、すべての大陸を網羅している。もっとも、”洪水”は今でも起こっているわけで、特に不思議な現象というわけではない。ところが、”大洪水”伝説によれば、
「世界中が呑み込まれた」
これはただごとではない。

こんな伝説が1つや2つなら、たぶん、ホラ。真に受けることもないだろう。ところが、同じような話が世界中にある。一体どういうわけだ?さては、どこかの誰かが創作して、世界中に言いふらした?ところが、伝説のほとんどが、紀元前3000~紀元前500年に記されている。この時代、世界中に吹いて回るには、7つの海を越えなければならない。ところで、船はどうする?

地球上のほとんどの海は、沿岸沿いに航海できる。だから、古代のガレー船でもOK。ところが、外洋となると、話は別だ。地図を見ればわかるが、大平洋や大西洋を横断する沿岸ルートは存在しない。太海原を突っ切るしかないのだ。当然、外洋の荒波や強風に耐える堅牢な船が必要になる。ところが、そんな船(ガレオン船)が登場するのは16世紀に入ってから。

もっとも、歴史上初めて大西洋を横断したのはバイキングらしい。11世紀頃、大西洋を横断し、北アメリカ大陸に移住したことが確認されている。カナダに住居跡があるし、植民を伝える神話も残っているから。ただし、この植民は最終的には失敗した。

ところで、バイキング船は500年も未来のガレオン船に匹敵した?イエス!強靱な竜骨をもち、オールと帆を備えた優れたハイブリッド船だった。風を効率よく利用する点ではガレオン船に劣るが、堅牢さではひけをとらない。とはいえ、バイキング船が活躍したのは8~11世紀。「大洪水伝説」が記された古代には存在しない。ということで、古代に大西洋や太平洋を横断するのはムリ

では、はるか昔、同じホラを吹く虚言癖が世界中に住んでいた?可能性はないことはないが、もっと素直に考えれば、
「地球を呑み込むほどの大洪水」
が本当に起こった・・・

■ノアの方舟伝説

歴史上最も有名な大洪水伝説は、「ノアの方舟」だろう。以下、その要約。

神ヤハウェは、地上の堕落した人々を洪水で滅ぼすことにした。ヤハウェは、神に忠実なノアとその家族だけ救おうと、方舟の建造を命じた。ノアとその家族は方舟を完成させ、動物のつがいを方舟に乗せた。やがて、予言どおり、洪水が起った。40日の間、雨は降りつづけ、地上の生き物はすべて死滅した。150日後、水が引きはじめ、ノアの方舟はアララテ山に漂着した。ノアと家族と動物たちは方舟を出た。こうして、ノアの方舟に乗っていたもの以外、すべて死に絶えたのである。

これが、誰もが知るノアの方舟伝説だ。ところが、原典の旧約聖書「創世記」はもっと生々しい。たとえば、神ヤハウェが人間を滅ぼす決意をする部分・・・

【第6章5節】

神は、地上の人が悪いことばかり考えているのを見た。

【第6章6節】

そして、地上に人を造ったことを後悔した。

【第6章7節】

神は言った。

「わたしは人を創造したが、これを地上から消し去ることにした。人だけでなく、家畜も鳥も、肉なるものすべてを。わたしはこれらを造ったことを後悔している」

自分で造っておいてそれはないだろうと思うけど・・・一神教の神は冷酷だ。とくに、自分の意にそわない者に対して。さらに、旧約聖書「創世記」の洪水シーンはもっと凄まじい・・・

【第7章11節】

深淵なる源が裂け、天の窓が開かれた。

【第7章12節】

雨が、40日間、地上に降り続いた。

【第7章17節】

水はどんどん増したので、方舟は大地を離れて浮かんだ。

【第7章18節】

水は勢いを得て、地上にあふれ出し、天の下にある高い山はすべておおわれた。

【第7章21節】

地上で動いていた肉なるものは鳥も家畜も獣も人もことごとく息絶えた

【第7章22節】

乾いた地のすべてのもののうち、その鼻から息をするものはことごとく死んだ

なんとも凄まじい神の御業(みわざ)・・・冷静に考えてみよう。これは正真正銘の「ジェノサイド(大量虐殺)」なのだ。つまり、民族や国家など特定集団に対する抹消、殺戮。神が悪徳と糾弾したこの地上世界でさえ、現在、「ジェノサイド」は禁じられている(1948年国連総会でジェノサイド条約が採択)。

旧約聖書は、神話(作り話)と歴史書(実話)の2つの側面がある。現時点では、ノアの方舟伝説が、どちらかはわからない。ただ、洪水は今でも起こっているわけで、それを地球規模に風呂敷を広げただけ、という説が有力だ。この論法は、ありえない神話の解釈によく使われる。やっぱり、ノアの方舟伝説はガセ?

ところが、別の視点から、ノアの方舟伝説が史実だと主張する人がいる。なんと、ノアの方舟が発見されたというのである。木製の船が、3000年も原形をとどめているとは思えないが、一応検証してみよう。手順はいたってシンプル。

1.ノアの方舟伝説に記された舟のスペックを確認。

2.それが、現存する舟と一致すればビンゴ!?

ということで、まずは舟のスペック。

■ノアの方舟のスペック

ネットや書籍で流布されるほとんどのノアの方舟は、ズングリムックリの木造船。一方、潜水艦や空飛ぶ円盤のようなものもある。人間の想像力には驚かされるが、まともに取り合っていては話が進まない。ということで、旧約聖書「創世記」にフォーカスしよう。

【第6章14節】

あなた(ノア)は、ゴフェルの木(杉?)の方舟を造りなさい。方舟には小部屋をいくつも造り、内側も外側もタールを塗りなさい

【第6章15節】

次のようにして、それを造りなさい。方舟の長さを300アンマ、幅を50アンマ、高さを30アンマ。

【第6章16節】

方舟に明かり取りを造り、上から1アンマにして、それを仕上げなさい。方舟の側面には、戸口を造りなさい。また、1階と2階と3階を造りなさい。

という具合で、けっこう細かい。記述にある「アンマ」は長さの単位で、手の中指の先からひじまでの長さ。どういわけか、観光地のお土産「孫の手」と同じ。そこで、
「1アンマ=45cm」で計算すると、

全長:300アンマ×45cm=135m

全幅:50アンマ×45cm=22.5m

高さ:30アンマ×45cm=13.5m

ということで、旧約聖書に記されたノアの方舟のサイズは、全長135m、全幅23m。けっこうでかい。偶然にも、日本の歴史的な戦艦「三笠」とサイズが同じ。三笠は、日露戦争の日本海海戦で、ロシアのバルティック艦隊を壊滅させた連合艦隊の旗艦。ちなみに、三笠の実寸は、全長132m、全幅23m。んー、ほぼ一致。もちろん、これで、ノアの方舟は現代テクノロジーにも匹敵する、だから、これこそ神の啓示、などと短絡するつもりはない。そう主張したい人はたくさんいるだろうけど。

しかし・・・

このサイズには疑問がある。「ノアの大洪水」が記されている旧約聖書「創世記」は、モーセ五書の一つだが、複数のバージョンが存在する。たとえば、

1.ヤハウェ資料(J):編集時期は紀元前8世紀~紀元前10世紀

2.祭司資料(P):編集時期は紀元前5世紀~紀元前6世紀

つまり、ヤハウェ資料(J)は祭司資料(P)より、数百年も古い。ところが、ノアの方舟のサイズは、祭司資料(P)には記されているが、ヤハウェ資料(J)には記されていない(※)。時間が経つほど内容が詳しくなる?これはちょっと怪しい。

いずれにせよ、ノアの方舟伝説が2500年前に書かれたことは確かそうだし、舟のスペックもはっきりしている。とすれば、そのスペックと一致した古い舟の残骸が見つかれば、伝説は真実?(ちょっと強引)

■アララト山のノアの方舟

ノアの方舟の残骸がアララト山にある
は有名なウワサらしい。目撃証言、物的証拠もあるようで、もし本当なら大スクープだ。ただし、内容は一見してウソと分かるもの、念入りに理論武装されたもの、玉石混合。一応、証拠を列挙する。

【19世紀末トルコ】

アララト山が噴火し、地震で多くの被害が出た。そこで、トルコ政府は、被害状況を調査すべく、アララト山に入った。彼らは、クレパス(氷河の裂け目)から、巨大な木片を発見する。ところが、アララト山は、5000m級の山で、巨木は存在しない。山のふもとから、わざわざ巨木を担いで登る物好きはいない。すわ、ノアの方舟の残骸では!?ところが、余震でクレパスがいつ崩壊するかわからないので、それ以上の調査を断念したという。よくわからない?

【ロシア】

20世紀初頭、帝政ロシアの時代。ロシア軍パイロットが、アララト山上空から、巨大な船影を発見した。報告を受けたロシア皇帝ニコライ2世は、大規模な調査を命じる。アララト山に入った調査隊は、そこで、巨大な木造船を発見する。写真を撮影し、船のサイズを測量、図面まで作成した。それによると、船長は約200mあり、船内は何百もの小部屋に分かれ、船体は防水用の天然樹脂が塗られていたという。ところが、1917年にロシア革命が起こり、ロマノフ王朝は崩壊する(これは史実)。そして、政権は共産主義へ。共産主義は唯物論を信奉するので、非物質的な存在や現象は否定される。つまり、宗教のたぐいは御法度。ノアの方舟?とんでもない!こうして、ノアの方舟の写真も図面も紛失したのだという。もし本当なら、何としてでも捜し出して欲しいものだ。

【その他】

1950年代に入り、アララト山は何度か調査が行われた。結果、氷河に封印された船影は130m前後で、切り取った木片は紀元前2000年~紀元前4000年のものだったという。旧約聖書に記された「ゴフェルの木」は杉の木と言われるが、標高5000mでは、そんな大木は生育しない。ということで、この船は外部から運び込まれた(漂着)?これは、先の【19世紀末トルコ】編と同じ理屈。

どの話も興味はそそられるものの、決定的な証拠はない。氷河を叩き割って、方舟を回収するしかない。現在、露出した船影の写真が公開されている(氷河が溶けた?)が、確かにそれっぽい。もっとも、それがアララト山という証拠はないのだが。

アララト山は、山頂がいつも氷河でおおわれており、旧ソ連の国境で入山が禁じられた時期もあった。そんなこんなで、調査できない都合の良い理由もあるわけで、神秘のベールで包まれていた。また、衛星写真で方舟の存在が確認されたという説、それはウソだという説、何をとっても賛否両論あり。まぁ、この手の話は、あれこれ妄想するのが楽しいのだが、それでは、身もふたもない。ということで、科学的な推論?をもとに、可能な限り真実に近づいてみよう。

■真実

旧約聖書の「ノアの方舟」伝説は、古いバージョンより新しいバージョンの方が詳しいので、後世に追記されたことは確か。問題は、それが新しい証拠にもとづくのか、らしく見せるための虚偽か?今となっては分からないが、それが古代に書かれたことだけは確かだ。

そこで、推論の第一歩として・・・

今から3000年ほど前に、大洪水がおこり、船に乗って難を逃れた一派がいた。これなら、聖書を持ち出すまでもなく、普通にありうる。

だが、問題は船のサイズだ。そんな古い時代に、全長135mもある船が存在したか?しかも、創世記によれば、ゴアの方舟はゴフェルの木でできている。ゴフェルの木は杉と考えられているので、大した強度は望めない。そんなやわな材料で、135mもの長大なものをつくれば、「てこの原理」でポッキリ?

現在、世界最大の木造船といわれるのが、海上自衛隊の「やえやま型掃海艦」。掃海艦は、機雷を排除するための軍艦である。機雷は磁気に反応するので、船が鋼鉄製なら地球の磁気が乱れて、ボン。そこで、磁気に反応しない木造船というわけだ。問題は、そのサイズだが、全長67m、全幅11.8m。現在のハイテクを用いても、これが木造船の限界?

ところが、地球の歴史には、ノアの方舟と同じサイズの木造船が他にも登場する。1405年の中国、明王朝時代。永楽帝の命を受け、鄭和(ていわ)率いる大艦隊が出航した。高校の歴史にも登場する有名な「鄭和の大航海」である。この航海は、何度も行われ、インドのカリカットをへて、遠くアフリカ東岸まで達したという。そして、その中の最大の船(宝船)が全長137mもあったというのだ。ただ、清の時代の「明史」に記されているだけで、現物は残っていない。鄭和の航海は史実だし、大きな船であったことも確かだが、寸法のほうは確かではない。

鄭和の船は、中国古来の木造帆船「ジャンク船」、それ以外に考えられない。最大の特徴は帆。竹の短冊を並べて吊り下げ、帆の面を構成する。また、人間の背骨にあたる竜骨が無い。かわりに、船体を多数の隔壁で区切り、強度を保つ。自動車の「モノコックボディ」と同じ発想だ。じつは、ノアの方舟もこの方式。しかも、鄭和のジャンク船とノアの方舟の全長はほぼ一致する。とすれば、小部屋で区切るタイプの木造船の限界サイズは135m?んー、誰かが喜びそうだ。

また、船の長さではなく、長さと幅の比率に言及するむきもある。この比率(全長÷全幅)は、船の性能にかかわる重要なパラメータだからだ。細長ければ航行は安定するが、横波に弱い。一方、幅広なら、横波に強いが、走行が安定しない。黄金比率があるに違いない、というわけだ。たとえば、現在主流の30万トン型タンカーは、全長333m、幅60mなので、

全長÷全幅=5.6

16世紀~18世紀に活躍した帆船の王者「ガレオン船」は、

全長÷全幅=4

一方、ノアの方舟は、

全長÷全幅=5.7

おぉ、16世紀のガレオン船より、古代のノアの方舟のほうがハイテクじゃないか!

「ノアの方舟=現代のハイテク船」→「ノアの方舟は神の設計」

ただし、この主張をより確かなものにするには、船の構造にも言及すべきである。

■防水隔壁

旧約聖書【第6章14節】には、

方舟には小部屋をいくつも造り・・・」

という記述がある。

1912年4月14日、タイタニック号は氷山に接触し、翌日沈没した。この海難事故が歴史上有名なのは、タイタニック号が「浮沈船」といわれたからである。もちろん、根拠はあった。船体が防水隔壁で16の区画に区分され、穴が空いても、浸水はその区画で止められる。しかも、2~4区画まで浸水しても沈没しない。じつは、この仕組みは、先の「方舟には小部屋をいくつも造り」と酷似している。

もっとも、船体を小部屋で区切ったところで、防水でないと浸水する。ところが、旧約聖書【第6章14節】には、

「・・・内側も外側もタールを塗りなさい」

と明確に指示されている。つまり、完全防水

「タール」は、有機物に熱を加えることで得られるネバネバした油状の液体。原料は石炭だが、石油、木材、植物からも取り出せる。おそらく、先の一節に記された「タール」は「木タール」だ。木タールは、木材を加熱することで得られるタールで、数千年も前から知られていた。防水作用があり、ネバネバしているので、船の外壁を密封するのに都合がよい。実際、そのように使われていた。

■ノアの方舟伝説はパクリ

さて、結論。旧約聖書の記述によれば、ノアの方舟は複数の部屋で区切られ、壁には防水処理が施されていた。これは、「水密構造」とよばれ、タイタニック号どころか、現代にも通じるハイテク技術だ。一方、ノアの洪水がおこったのは、紀元前3000年から紀元前2000年とされる。もちろん、証拠はないが、記されたのは、少なくとも紀元前6世紀~紀元前5世紀。つまり、2500年も前にハイテク技術が「記された」ことは確かだ。

では、ノアの洪水伝説は真実か否か?火のないところに煙は立たないように、どんな伝説にも種はある。とすれば、「大洪水が起こり、船で難を逃れた一派がいた」ことは十分考えられる。つまり、地球を呑み込むほどの大洪水だったかどうかは別として、真実であった可能性は高い。しかし、別の意味で、旧約聖書の「ノアの方舟伝説」は信用できない。この伝説が、もっと古いギルガメシュ叙事詩の洪水伝説に酷似しているからだ。つまり、パクリ?

《つづく》

参考文献:
(※)「ギルガメシュ叙事詩(ちくま学芸文庫)」矢島文夫著/筑摩書房

by R.B

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